最終更新日 2024年11月22日 by akasak
1)紛争が起こりやすい地域と理由
インターネットをはじめとする情報インフラの発達によって、私たちの生活をとりまく情報密度は大きく変化しました。
今や小学生ですら地球の裏側で起きている事件について、一昔前ならば外交関係者でもなければ分からなかったことまで知ることが出来る時代です。
こうした変化によって実感することの一つが、地球上では常にどこかで誰かが戦争しているという事実です。
よほどの狂人でもない限り、私たちは死を恐れ出来るだけ安全に長生きしたいという願望を持っています。
それなのに一体どうして人類は自分の命を危険に晒すだけでなく、生活の基盤となる社会やインフラ、自然環境まで破壊してしまう紛争に明け暮れてしまうのでしょうか?
その答えは人によって様々でしょうが、一般的には大きく2つの理由によって説明されます。
まず一番手に上がるのは「分断」というキーワードです。
日本は世界でも稀なほどに民族や宗教が均一化している島国なので、感覚的に理解できない人もいるでしょうが、世界の大多数の国は古来から様々な民族や宗教、政治勢力が入り混じって暮らしています。
当然ながらそこで暮らす人々は文化も違えば、基本的な考え方も違います。
あるグループにおいては当たり前のルールが、別のグループでは絶対に許せないルールであるということも珍しくありません。
こうした環境下で対立がエスカレートすると、言葉での争いが暴力による争いに用意に変化してしまいます。
2)争いの火種と軍事産業の存在
紛争の多い地域と言われているアフリカは、植民地時代にヨーロッパの先進国が地域の民族分布などを無視して、自分勝手に国を分割してしまいました。
ある時までは多数派として暮らしていた民族が、いきなり国境線によって少数派となり迫害されたりすれば、争いが起きるのは当然です。
文化や民族の違いが戦争の火種となるのに対して、これを長期化させる原因となっているのが、死の商人と呼ばれる軍需産業の存在です。
戦争は兵士の数や質も重要ですが、現代においては何といっても兵器の性能が戦局を左右します。
そのため武器メーカーは莫大な費用をかけて様々な兵器を開発しますが、これらは戦争のない世界ではまったく売れません。
世界最大の軍事国家であり、現代において先進国の軍事作戦を事実上支配しているアメリカの、2018年度の軍事予算は78兆円でした。
これは日本の国家予算に近い金額です。
分断と死の商人の暗躍、上記で説明した2つの要素が地球上で起きる紛争の大きな原因であることは、疑いようのない事実です。
しかし根本的な原因は地球上のほぼ全ての人間を支配している、ある概念によるものではないでしょうか?
ある概念、それは「所有」です、これこそが人間が戦争に明け暮れる究極の原因だと指摘する学者は少なくありません。
3)人間の精神が戦争を招いてしまうことを知る
所有という概念は人間だけが持っている特別な特性という訳ではありません。
サルやチンパンジーやゴリラといった私たちの近縁種である霊長類はもちろんのこと、より原始的な動物であっても縄張りやメスなどの権利を主張し、必要であれば対立する同種の仲間と殺し合います。
ですがこうした動物たちは自分たちの身体的感覚を超える所有を行いませんし、そもそも行えません。
世界で最強のライオンがいたとしても、彼は自分がたどり着くことも出来ないほど遠くの大地まで、自分の縄張りだと主張することはないのです。
自分が移動できる範囲の土地、食べられる範囲の食料、交尾できるだけの数のメス、それ以上のものを彼らは望みません。
かつては人類もまたそのルールの中で生きていました、しかし地球上で最も賢い動物だった人間は貨幣や権利といった「冨」を発明してしまいます。
これらの発明は所有と欲望の限界を破壊しました。
豪華なご馳走を頬張るのには限度がありますが、自分の預金通帳の金額に限界はありません、いくらでも増やすことが可能です。
もしも人類が所有の概念を知らず、それを拡張しなかったならばこの世界で起きている紛争の多くは解決されていたことでしょう。
しかし実際の私たちは資本主義経済を無条件と言えるレベルで受け入れてしまっています。
この呪縛を振りほどかない限りは、大国の武力介入や調停などによって一時的な停戦にたどり着くことは出来ても、いずれまた火種は再燃し戦争が始まってしまうでしょう。
日本をはじめとする先進国の国民はこうした途上国の争いを、他人事のように見ていますがそんな悠長なことを言っていられるのもあと僅かです。
人間の精神が未熟なままでいる間も科学技術は日々進歩しています。
おそらく100年以内に現在は一部の大国しか持てない大量破壊兵器に匹敵する武力を、途上国のテロリストが持てる時代が到来するでしょう、その時になっても人が自分の欲望を制御できないのなら、紛争はやがて第三次世界大戦へと発展するでしょう。
関連HP:日本ユニセフ アグネス